整骨院・接骨院で保険は使えなくなる?厳格化される保険診療への対応法も解説
目次
整骨院や接骨院での治療に保険が使えなくなるのではないかと不安な方も多いかと思います。厚生労働省の新たな方針により、整骨院や接骨院での保険診療への対応がより一層厳しくなりつつあります。
この記事では、保険が使えなくなると言われている理由や厳格化の内容、そしてその変化にどう対応すればよいのか、深く掘り下げて解説します。
「整骨院・接骨院で保険は使えなくなる」と言われる2つの理由
整骨院や接骨院で保険が使えなくなると言われる背景には、2つの理由があります。
不正請求により規制が強化されたため
まず1つめの理由として、不正請求により規制が強化されたことが挙げられます。接骨院や整骨院での療養費受領委任払い制度の悪用が増え、実際に提供していない治療の費用を請求するなどの不正行為が発生しています。
これにより、厚生労働省は保険診療に対する規制を強化し、整骨院や接骨院の保険診療が厳しく監視されるようになりました。ただし、だからといって保険診療自体が無くなるとは考えにくく、不正請求による規制強化は適正な治療の提供とその請求に向けたものです。
柔道整復療養費が減少しているため
柔道整復療養費の減少も大きな理由の一つです。柔道整復療養費は、整骨院や接骨院での治療に対して健康保険から支払われる費用ですが、この療養費が年々減少しています。これは、不正対策の強化と保険適用の基準が厳格化されたことによるものです。
減少する療養費は、整骨院や接骨院にとって大きな打撃となり、保険を利用した治療提供が難しくなっています。しかし、柔道整復療養費の減少という理由も保険診療自体が完全に無くなるとは考えにくく、あくまで適正な治療とその請求が求められているのです。
整骨院・接骨院で保険はどのように厳格化される?
整骨院や接骨院での保険診療の厳格化は、不正を防ぎ、適正な医療提供を確保するために必要な措置です。具体的にどのように厳格化されるのか詳しく見ていきましょう。
柔整審査会の権限が強化される
柔整審査会の権限強化は、保険診療の不正行為を根絶し、システムの公正性を守るために極めて重要な措置です。この改革によって、疑念を持たれる整骨院や接骨院に対し、従来よりもずっと厳格な資料提出を求めることが可能となります。具体的には、治療に関する領収書の発行履歴や患者のカルテの提出を要求することにより、保険金の不正請求の有無を詳細に調査することができるようになります。
さらに、保険料の不正請求の疑いが持たれる場合、施術管理者は直接、その疑問に回答する義務があります。これらの措置は、不正請求の防止に向けたより堅固な体制が構築され、保険診療制度の信頼性が一層高められることを期待した厳格化となります。
部位転がしが審査要領の重点項目に加わる
また、部位転がしという不正行為に対する対策も厳格化されます。部位転がしとは、患者が実際には必要としていない部位に対して治療を施し、その治療に対して不正に保険金を請求する行為を指します。
この不正を効果的に防止するために、部位転がしが審査要領の重点項目に加えられることになりました。負傷の名称、施術された回数、受療した期間などの情報が詳細にチェックされるようになり、これにより不正な施術が行われている可能性があるケースの早期発見と対処が可能になります。
地方厚生局の指導・監査の強化
地方厚生局の指導・監査の強化は、整骨院や接骨院における保険診療の透明性と正当性を高めるための厳格化です。これにより、保険診療の適切な実施を確認し、不正な請求や運営を行っている施設に対しては、厳しいペナルティを科すことが可能になります。
地方厚生局は、疑わしい整骨院や接骨院に対して直接立ち入り調査を行い、不正の有無を確認します。このような監査の強化により、不正を抑制し、患者に安全で適正な治療が提供される環境が整備されます。
金品の提供で紹介を受けた患者への施術を支給対象から除外される
整骨院や接骨院において、金品の提供を介して患者の紹介を受けた場合、その患者へ提供される施術は保険診療の支給対象から外されることになります。患者紹介の際に金銭やその他の利益を提供することは、必ずしも医療の必要性に基づかない患者の流入を引き起こす恐れがあり、そのような行為が医療の質を損なう可能性があるという理由での厳格化となります。また、この措置は保険診療システムの透明性を高め、その適正な利用を保証するという期待もされています。
整骨院・接骨院における厳格化される保険診療への対応
整骨院や接骨院での保険診療が厳格化される中、適切な対応は施設運営の持続性に不可欠となります。以下の点に注目し、法令遵守と質の高い医療提供を目指しましょう。
不正請求をしない
保険診療の不正請求は厳しく罰せられ、施設の信用失墜につながります。過去には、不正請求により厚生労働省からの監視が強化され、一部の施設では営業停止などの重い処分が下されました。日々の業務においては、治療記録を正確に保管し、請求書類に誤りがないよう細心の注意を払いましょう。
「見つからなければ大丈夫」という考えは危険です。不正は最終的には発覚し、その結果として施設の閉鎖や資格の剥奪など、業務継続に影響を及ぼす可能性があります。常に誠実さを持って業務に臨むことが重要です。
最新情報を把握する
保険診療における規制は定期的に更新されます。診療報酬の改定は2年に1度行われるほか、療養費に関する変更も頻繁に発生します。これらの変更に迅速に対応するためには、厚生労働省や全国柔整鍼灸協同組合のウェブサイトなど、信頼できる情報源から最新の情報を定期的に入手することが不可欠です。
「知らなかった」では済まされない場合が多く、情報の未更新による不利益を避けるためにも、常に最新の情報を手に入れる努力が求められます。また、消費税の納税方法に関する変更も医療業界に影響を及ぼすため、インボイス制度などの税制変更にも注意しましょう。
まとめ【整骨院・接骨院で保険診療が使えなくなる可能性は低い】
整骨院や接骨院での保険診療が使えなくなる可能性について、心配する声がありますが、その可能性は低いと言えるでしょう。不正請求の取り締まり強化や柔道整復療養費の見直しはありますが、これは適正な診療を促進し、保険診療の健全化を目指すための措置です。整骨院や接骨院が保険診療を続けていくためには、不正請求を避け、常に最新の情報を得て適切に対応することが重要です。
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