接骨院・整骨院を法人化するメリット・デメリットとは?個人開業と徹底比較!

接骨院・整骨院をこれから開業しようとしている方、あるいは既に開業されている方で、自院を法人化するか個人事業としてやっていくか迷っている方もいらっしゃるかと思います。法人化と聞くと従業員を雇って事業規模を大きくする場合に必要なステップというイメージがあるかもしれませんが、法人化することで享受できるメリットもたくさんあります。

そこで今回は、接骨院・整骨院を法人化するメリット・デメリットについて解説するとともに、個人事業として開業する場合との違いについても説明していきます。

 

接骨院・整骨院における法人化と個人開業の違い 

接骨院の法人化と個人開業の違いを説明する前に、法人化する場合の法人格について触れておきます。まず、周知の通り接骨院で行う施術は医療行為ではありません(厳密には医療類似行為とされています)。また、接骨院は例えば弁護士や税理士のような業務独占資格ではないので、法人化する場合には株式会社にすることが最も適した方法になります。あまりピンとこないかもしれませんが、接骨院を法人化するということは株式会社にすることになります。

そして、法人化と個人開業の違いは大きく以下の3つになります。

1 開業時の届け出

法人として開業する場合は最寄りの税務署に、個人事業として開業する場合は最寄りの税務署と管轄の地方自治体に開業届を提出します。  

2 開業時の費用

 法人として開業する場合は登記申請や定款作成が必須であるため、10~30万円ほど開業費用がかかりますが、個人事業として開業する場合は開業時に納める費用は発生しません。 

3 会計、納税

 会計方法と納税方式が大きく異なります。法人の場合は法人決算書を作成し、申告が必要です。個人事業の場合は個人で確定申告(青色申告または白色申告)を行います。また、税金ですが法人の場合は売上の一部(通常は23.2%)を法人税として納税し、個人事業の場合は所得税(累進課税であり所得によって税額が変動する)として納税します。

 

接骨院・整骨院を法人化するメリット・デメリット 

メリット

節税できる

初期費用こそかかりますが、長期的に考えると法人化することが節税にもなります。

消費税が免除される(2年間)

個人事業から法人化すると、消費税の納付が2年間免除されます。

所得税・住民税を軽減できる

 法人化することによって、自分自身の収入も法人から給与として受け取ることになるため、個人としての所得税額を抑えることができます。そして個人の所得が少なくなれば所得税・住民税が軽減されます。

経費にできる項目が多い

備品の購入費や保険料などを法人の経費として計上できるので、出費を多くすることによって売り上げを少なくして節税ができます。

社会的信用度が高くなる

 法人化すると自社の情報が謄本として公的機関によって公開されることになるので、会社の実態があるということが安心材料となります。また、法人化されていると複数の人数がいる組織だと見られることも重要なポイントです。他にも、会社によっては「個人では取引はしないが、法人であれば取引をする」というところもあります。

  

デメリット

開業・廃業に費用がかかる

 法人化することによって、開業時には登記申請や定款作成費用として10~30万円ほどかかり、また廃業時にも解散登記を行うので同じく登記費用が10~30万円ほどかかります。

社会保険料を支払う必要がある

 法人化した場合は従業員の保険加入が必須のため、社会保険料を支払う必要があります。その場合、従業員分の社会保険料を半額程度負担しなければならないので、従業員が増えるほど負担する社会保険料の金額は増えることには留意しましょう。

赤字でも住民税が発生する

 個人事業主の場合、経営が赤字になって事業主本人の所得がなくなると所得税や住民税の支払いも発生しませんが、整骨院を法人化した場合、法人格に対して住民税(法人住民税)が資本金などをもとに一律で課税されます。赤字経営となった年でも法人住民税の支払いは免除されないので注意しましょう。

 

接骨院・整骨院を個人開業するメリット・デメリット

メリット

開業のハードルが低い

 個人事業の場合は開業手続きに費用がかからず、提出する書類も開業届だけなので、開業のハードルは極めて低いといえます

​​​​​​会計処理(税務の申告)が簡単

 個人事業主の場合は、税務の申告が確定申告になりますが、確定申告は難しい会計処理がないので税理士の手を借りずに個人でも行えます。

所得次第では税金が少なく済む

 税金については個人事業主の場合は所得税が、法人は法人税が課税されます。所得税は利益に応じて税率が変わるので、利益が少ない間は法人税よりも所得税のほうが少なくなります。

 そのため、事業が大きくなるまでは個人事業主として、利益が増えた段階で法人化するという選択肢もあります。

  

デメリット

税負担が大きくなるリスクがある

 所得税は利益が増えるにつれて段階的に上がっていく累進課税を採用しています。よって、利益が多く出てしまうと税率が高くなって負担が増大します。

社会的信用が低い

 一般的に、個人事業主のほうが法人よりも社会的信用度が低いとされています。そのため、他の会社との取引や金融機関から融資を受ける際に、法人よりも不利になるケースもあります。

  

接骨院・整骨院を法人化すべきタイミングとは?

 整骨院を開業する場合、初期費用や課税方式などを考慮して、最初は個人事業として開業してから、のちに法人化するという方法があります。整骨院が法人化するのに適したタイミングとしては、以下のような目安があります。

・売上が500万円超となったとき

…500万円を超えると個人の所得税率が上がるため

・売上が1000万円超となったとき

…消費税を納税する義務が発生するため

 ただし、売上はあくまで目安の一つとして考え、自社の経営方針や長期的な展望などを考慮り入れて総合的に判断をするとよいでしょう。

  

接骨院・整骨院を法人化する際の流れ

具体的に接骨院・整骨院を法人化する際の流れをご紹介します。

1 定款の作成

定款とは、法人の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本規約・基本規則そのもの、およびその内容を記録した書面のことを言います。この書面の作成には司法書士の先生に依頼することが一般的です。

2 法人登記

法務局へ行って法人登記をします。

3 口座開設

金融機関で法人口座の開設をします。

4 社会保険、税金手続き

年金事務所、税務署、都道府県税事務所に届け出をします。

5 名義変更

これまで個人として契約していた支払い等を法人名義に変更します。

 

接骨院・整骨院の開業を成功させる2つのポイント

接骨院・整骨院の法人化はメリットが多いですが、法人化を考える前にまずは接骨院の個人開業を成功させ、売上が伸びてきたら法人化することがおすすめです。

コンセプトを決める

接骨院・整骨院の開業に際しては、コンセプトを決めることが重要です。コンセプトがあることによってターゲットが明確になり、立地や施術メニューを決める際の手がかりになります。また、利用者にとっても接骨院・整骨院にコンセプトがあることによって、自分に合った院を見つけやすくなり、受けたい施術を提供している接骨院・整骨院を効率的に選ぶことができます。

コンセプトの決め方については、以下の記事もご覧ください。

⇒接骨院・整骨院のコンセプトの決め方とは

  

集客しやすい立地を選ぶ

 接骨院・整骨院は集客しやすい立地を選ぶようにしましょう。その際、ターゲットを意識することも重要です。ビジネスマンをターゲットにするのであれば主要な駅の近くを、また主婦や高齢者をターゲットにするのであれば住宅街を選ぶなど、集客したい客層を意識した立地を選びましょう。

立地選びについては、以下の記事をご覧ください。

⇒接骨院・整骨院の開業で選ぶべき立地とは

 

まとめ【接骨院・整骨院はタイミングを見計らって法人化がおすすめ】

 接骨院・整骨院の法人化についてお伝えしてきましたが、これから開業をお考えであれば、まずは開業のハードルが低い個人事業としてスタートさせてから、タイミングをみて法人化するのがおすすめです。

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