廃業ラッシュ!?整骨院開業の失敗原因4選【失敗事例を知って対策しよう】
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この記事を読んでくださっているのは「整骨院を開業したい」「長年の夢を叶えたい」といった思いを抱えている方ではないでしょうか?念願の整骨院を開業するなら、絶対に失敗はしたくないですよね。
現在の日本は人口が減っているのに対し、整骨院の開業は年々増えています。それに比例して整骨院の廃業率も上がり、まさに「開業ラッシュ」と「廃業ラッシュ」が同時に発生している状態に…。
運よく廃業しなかったとしても、ギリギリの経営状態で保っているような整骨院は少なくありません。整骨院を1人で経営すると固定費だけで40~45万円ほどかかるので、最低でも70万円の売り上げがないと経営が成り立たないことに。ギリギリ経営を続けられたとしれも、安定した収入がある状態とは決して言えないですよね。
廃業ラッシュ!?接骨院・整骨院の廃業率とは
多くの資格取得者が開業を目指していますが、接骨院の業界は廃業率が高いことで知られており、経営が難しいケースが少なくありません。具体的な廃業率の公的データはないものの、一般的には「開業後数年以内に廃業する接骨院が非常に多い」と言われています。 特に2020年以降のコロナ禍の影響で、廃業する接骨院の数が増加しました。外出自粛要請や高齢者の来院減少が原因で、売上が大幅に減少したためです。さらに、この背景には、柔道整復師の資格保有者や開業数の増加による市場の飽和も関係しています。患者数が増えない一方で接骨院の数が増え続けており、競争が激化しています。 また、療養費の保険請求が厳格化されたことも廃業率の上昇に寄与しています。架空請求や水増し請求の事例が明らかになり、保険請求が厳しくなった結果、多くの接骨院が経営難に陥りました。さらに、2020年には全国に170店舗以上を展開していた大手整骨院運営会社が倒産するなど、業界全体の売上も減少傾向にあります。廃業ラッシュに乗らないために。整骨院開業に潜む4つの落とし穴
廃業理由①:場所選びを間違えている
整骨院の開業において、最も大切といっても過言ではない場所選び。どんな場所に構えるかによって来院者の年齢層や性別などターゲットが変わってきますし、どのような訴求をしていくかがガラッと変わってきます。 そういった面からも手を抜けない場所選びですが、開業の段階で資金を潤沢に持っている方は少ないですよね。一人で開業する場合、削るべきでない部分で経費削減しようとする方が多く、固定費を安くしたいからと、オフィスビルや雑居ビルなどの2階以上になる、いわゆる空中階の店舗を選んでしまうケースがあります。 実は整骨院の場所として、空中階の店舗はおすすめできません。空中階は路面店と比べて露出が少なく気付きにくいため、広告宣伝費が無駄に高くついてしまうからです。 周辺道路から確認・見つけやすい位置にある整骨院なら安心できます。駅やバス停、スーパーなど人が集まる施設の近くだとベスト!院周辺の通行者の動線なども確認しておきましょう。その上で、施術内容やコンセプトが似ている「競合店」の有無もチェックしておくと戦略が立てやすいですよ。 なるべく避けたほうが良いのは、近くにパチンコ店があったり、飲食店がたくさん並んでいたりする物件。騒音や害虫が心配なため、なるべく避けましょう。河川や線路などの近くも避けたほうが無難です。とはいえ、立地が良い物件は家賃が高くなりがち。固定費が高くなりすぎると経営が安定しにくいため、見極めが重要です。廃業理由②:顧客分析ができていない
想定する顧客について、きちんと分析できていないまま開業してしまうケースも多く見られます。 例えば田舎でお年寄りを相手にする接骨院であれば、院内の雰囲気が雑多な印象であっても許容範囲だと思います。敬語を使わず話しても、親しみやすいと思ってもらえるかもしれません。 しかし都心や繁華街で開院する場合、雑多な雰囲気の院内でフレンドリーな接客をしてしまうと、うまくいきません。想定する顧客がどのような雰囲気やサービスを求めているのか、開院前にきちんと分析しておくことが大切です。 そのためにはまず、商圏内における住居の分布および患者の性別や年代、家族構成など、メインターゲット層はどんな人たちになるのか、を知りましょう。さらにリピート率や離反率(なぜ離れてしまったか)を分析します。自院で提供しているメニューについても、調べ上げる必要があります。顧客分析をした上で人気・不人気のメニューやその理由を調べていくと、顧客のニーズがわかってくるはず。 「なんとなく」で決めていくのではなく、細やかな分析を経て新メニューやサービスを作り上げていきましょう。整骨院経営の成功を握るのは、緻密な顧客分析なのです。廃業理由③:サービス業としての視点がない
整骨院の開業は年々増えていますが、院内の清掃ができていないなど、基本的なサービスが疎かになっている整骨院も多く見受けられます。顧客目線で考えてみても、部屋の角に埃が溜まっていたり、トイレが汚かったりすると、「またここに来よう!」という気持ちにならないですよね。
柔道整復師には、最高の技術を提供すればうまくいくと思っている方が多いのが現状です。しかしながら近年は整骨院の開業数が伸び、競争相手が増えているので、サービス業的な視点も求められています。
せっかく技術力に自信があっても、サービス面が足りずに顧客を獲得できていないなら、とても勿体ないですよね。整骨院の廃業ラッシュと言われるこの時代ですから、客層に合わせた接客サービスは必要不可欠です。
まずは、清潔感のある院内をキープするところからはじめましょう。掃除や整地整頓はもちろん、白やブルー、ピンクなどターゲット層に合った明るく清潔感のあるカラーを取り入れるのもおすすめです。
そして重要な接客態度ですが、テンプレ化せずに、患者さんそれぞれに合わせた対応を目指しましょう。匿名アンケートを取って顧客評価をチェックするのも効果的。さらに、少人数経営だとどうしても先生がやりたい施術をしてしまいがち。その2でお伝えした顧客分析をもとに、患者ニーズに合わせた治療プランを用意するのをおすすめします。
廃業理由④:開業しても待っているだけ
念願の開業に至っても、HPやチラシだけ作って、うまく活用できていないというケースも多く見られます。待っているだけでは、お客様は増えません。 失敗とまでは言わなくても、ジリジリと下がっていく売上を前にどうしたらいいかわからず焦っている、というご相談をよくいただきます。 よほどずば抜けて技術力が高く、一発で痛みが取れるなどの強みがあるのなら別ですが、競合が多い今の時代は、HPやチラシなどを活用した戦略的な経営とサービス業としての視点が必要不可欠です。- 継続的にチラシを発行する
- 顧客リストを毎週確認し、2週以上離反した顧客に再来院を促すアクションを継続的に行う
- ビラ配りやポスティング
- 口コミ評価のチェック
接骨院・整骨院の開業で失敗してしまった4つの事例
何千もの整骨院と関わるなかで、失敗したケースも残念ながら数多く見てきました。その中でも多い失敗例は以下の通り。- 資金関連
- 届出関連
- 集客関連
- 工事・物件関連
失敗事例①:資金関連
失敗事例②:届出関連
よくある失敗は「各種届出を忘れていた」というものです。整骨院を開業するには、施術所開設届や地方厚生局・保健所など、さまざまな書類の提出が必要となります。 他の準備が整っていても、届出が受理されていないと開業ができません。事前の準備を怠らないほか、期日もしっかりと確認しておきましょう。失敗事例③:集客関連
開業してから、効果的に売り上げを伸ばしていくなら、「集客」「営業活動」は外せない項目です。失敗する方は、「開業さえしてしまえば、お客さんは勝手に来てくれる」と楽観視してしまいがち。待っているだけでは、お客様は増えません。
人通りも多い好立地なことに慢心し、積極的な集客を怠ってしまった、顧客分析を行わずになんとくメニューを決めてしまっていた、などが挙げられます。
例えば外でチラシを配るという方法は、なんだか原始的に感じてしまう方もいるでしょう。しかし、チラシを配ることで、その場所に何があるのかをアピールできます。さらに施術者やスタッフの顔を知ってもらえるので、患者さんを見ると安心感につながるのです。
チラシをより効果的に使うなら、ホームページも活用すべきです。ホームページは比較的自由に訴求できるので、チラシにURLを載せたり、QRコードを載せたりすることで、興味を持ってくれた方をホームページに誘導すると良いでしょう。
清潔感のある空間なのか、どんな施術が受けられるのか、価格は明示されているのか…。患者さんは、このようなポイントを厳しくチェックしているので、しっかりとHPに記載するべきです。
また、接客態度なども集客に直結する部分です。せっかく技術力があっても、接客態度が悪かったり、ネガティブな話ばかりする先生だったり、スタッフ間がギクシャクしたりすると、居心地の悪さを感じてしまいます。清潔で過ごしやすい空間をつくると共に、接客態度も十分注意しましょう。
失敗事例④:工事・物件関連
工事や物件なども、実は失敗しやすい項目。代表的なのは、「工事が間に合わない」というものです。ついつい開業を急ぐあまり、無理な発注をしてしまうと各工事が遅れて開業日が遅れてしまった…なんてことも。 さらに、不動産に確認しない状態で看板工事をしていたら、看板工事がNGな物件で退去費用までかかってしまった、というケースも。このような失敗を避けるためにも、工事前や契約前に不動産やオーナーとしっかり確認しておくのがおすすめです。
開業するには、保健所へ届出をしなくてはなりません。自治体ごとに定められたルールに沿ってチェックされていきますが、すでに工事が進んでいる開業直前に届出をしたら平面図にNGが!結局工事をやり直した…という事例もあります。
また、そもそもの物件選びに失敗してしまった方もいます。「家賃が安いから」「家から近いから」という理由だけで決めてしまうと、見つけにくい場所にあったり、騒音やトラブルのある物件だったりと、マイナスになってしまうことも。いくつかの物件を比較して決定するようにしましょう。